Q2_鋼の熱処理

下図のような連続冷却変態線図をもつ共析鋼を①~③の速度で冷却したときの組織について述べよ.

連続冷却変態線図

①の組織:全てマルテンサイト

②の組織:一部パーライト,残りマルテンサイト

③の組織:全てパーライト

Time temperature transformation diagram (TTT曲線)とは何か,次の語句を用いて説明せよ.

[オーステナイト,A1変態点,一定温度]

—–

オーステナイトの状態から,A1変態点以下のある温度まで急冷し,

一定温度に保持して,時間とともに組織がどのように変化するかを示した図

共析鋼のTTT曲線において鼻温度は約何℃か?

550℃

鋼の熱処理の一つである「焼なまし(焼鈍)」について,その目的および操作法(やり方)を説明せよ.

—–

目的:軟化

操作法:A3またはA1変態温度以上に加熱・保持した後,炉冷(ゆっくり冷却)

下図のような等温変態図(TTT曲線)をもつ共析鋼を①~③のような経路で温度変化させると,それぞれどのような組織へと変化するか?また,温度T0の名称を答えなさい。

等温変態図(共析綱)

①の経路:パーライト

②の経路:マルテンサイトと残留オーステナイト

③の経路:ベイナイト

T0の名称:鼻温度

炭素鋼の焼き戻し温度と機械的性質の関係は一般に下図のようになる.
この図を参考に,焼き戻しの際に注意すべきことを説明せよ.

焼き戻し温度と機械的性質の関係(S40C)

200~400℃で硬さが低下して軟化するにもかかわらず、衝撃値が低下して脆くなるため、この温度域では焼き戻しを行わない。

マルテンサイト変態とはどのような変態のことか?
以下の空欄に適切な語句を入れなさい.

—–

オーステナイトの状態で(1)していたC原子が,急冷されてFeの原子配列が(2)へ変化した際に逃げることができず,格子の隙間に入ったままであるため,結果的に格子が(3)状態のこと

解答欄 (1) 固溶 (2) FCC →BCC (3) 歪んで膨張した

鋼の熱処理の一つである「焼き入れ」について,正しいものを1つ選びなさい.

・含有する炭素量と焼き入れの効果とは反比例する

・加熱した鋼を水や油に入れて急冷する ←コレ

・パーライト組織へ変態させて強度を向上させる

材料の寸法(サイズ)により,熱処理効果が異なる現象のことを何というか?

質量効果

鋼の熱処理の一つである「焼きならし」について,誤っているものを1つ選びなさい.

・組織の均一化や粗大組織の微細化ができる

・意図的にマルテンサイト変態を起こさせる ←コレ

・オーステナイト領域の温度から空冷で冷やす

鋼の熱処理の一つである「焼きなまし」について,正しいものを1つ選びなさい.

・目的の一つは材料を軟化させることである ←コレ

・この熱処理では残留応力の除去はできない

・オーステナイト領域の温度から水で急冷する

鋼は一般に「焼き入れ」をしたままで使われることはなく,必ず「焼き戻し」を行ってから用いられる.その理由を次から1つ選びなさい.

・靱性(粘り強さ)を改善するため ←コレ

・硬いマルテンサイト組織を得るため

・材料中心部までしっかりと焼きを入れるため

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